敷 島 随 想



「連 載」 第 54 回  ***第6番・その4(参考メモ・その2)***
*****日本各地の玉川

<六玉川>(歌枕)
 「日本六玉川」とは、次の表のような六河川のことを云うそうです。
名称場所関連事項
井手の玉川京都府綴喜郡
井手町
(山吹と蛙の玉川)
「駒とめてなほ水かはむ山吹の花の露そふ井手の玉川」
新古今集・巻第二・春下・159・藤原俊成
野路の玉川
萩の玉川
滋賀県草津市南部 (萩)
「明日も来む野路の玉川萩越えて色なる波に月やどりけり」>br> 千載集・巻第四・秋上・281・源俊頼
野田の玉川
千鳥の玉川
宮城県塩釜
多賀城市
(千鳥と潮風)
「夕されば潮風こして陸奥の野田の玉川千鳥鳴くなり」
新古今集・巻第六・冬・643・能因法師
高野の玉川和歌山県高野山
奥の院大師廟畔の細流
高野奥院へ参る路に玉川といふ河のみなかみに毒虫のおほかりければ、
この流れを飲むまじきよしをしめおきてのち詠み侍りける
「忘れてもくみやしつらん旅人のたかののおくのたま川のみず」
風雅集・巻十七・1788・雑歌下
麻布の玉川東京都多摩川 (麻布たづくりの玉川)
「多摩川にさらす手作りさらさらになにそこの子のここだかなしき」
万葉集・巻14・3373・武蔵国歌
玉川の里大阪府高槻市南部千五百首に
「見渡せば波のしがらみかけてけり卯の花咲ける玉川の里」
後拾遺集・巻第三・夏・175・相模

摂津の玉川の里

 上表のように歌枕としての玉川は全国に六か所ほど挙げられており、その一か所に摂津の玉川の里が
あります。現在の摂津市、高槻市、茨木市、にまたがる玉川とその一帯のことで、「三島の玉川」
「玉川の里」と言及され、卯の花と共に、和歌に詠まれてきたのです。

  淀川に流れ込んでいる芥川と淀川と並んで難波潟へ西流している安威川河原に続く卯の花の里で
あったのです。
 芥川と安威川の間の玉川には、現在、西堰橋、西面大橋、玉川橋、唐崎橋が架かっています。
これはかって玉川の里を「番田水路親水事業による河川敷整備工事」で、和歌に縁の風土を取り戻そう
としたのです。

 しかしながら、平安時代から多くの歌集の中で歌枕に使われてきた玉川も、現在では、住宅地区、
工場区域の混在した環境の中で、汚染された小河川になってしまっています。川沿いに遊歩道と桜並木
を整備して環境保全に努めていますが、流入する生活排水の悪化によって一層美景の面影は遠のいて
いるようです。

平成14年2月13日・磯城島綜芸堂・主筆 謹言
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